サイトリニューアルの打ち合わせで、よく耳にする言葉があります。「この古いページ、もう情報が古いから全部消してスッキリさせましょう」。その判断、ちょっと待ってください。その「古いページ」が、実はサイトの集客を支える屋台骨かもしれません。

私たちUPSHAREの現場では、Web制作からシステム開発までAIを実務に組み込み、試行錯誤を繰り返しています。その中で痛感するのは、「データなきリニューアルは、ただの破壊活動になりかねない」という現実です。見た目を整えることと、成果を出すことは別物。リニューアル後に「なぜか問い合わせが減った」という悲劇を避けるため、捨ててはいけないページを見極める基準を整理しましょう。
1. Search Consoleで「検索の入り口」を特定する
まず確認すべきは、Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」です。ここで見るべきは、「どのページが、どのキーワードで、どれくらい検索されているか」というデータです。
リニューアルでURL構造が変わる際、この「検索の入り口」となっているページを削除したり、URLを変更してリダイレクト(転送)設定を忘れたりすると、検索順位は一気に急降下します。特に、数年前の記事であっても、特定のニッチなキーワードで安定して流入があるページは、サイトの評価を支える「資産」です。これらを削除するのは、自ら集客の蛇口を閉めるようなもの。まずは流入数が多いページをリストアップし、それらを「絶対に消してはいけないページ」として保護リストに入れましょう。
2. GA4で「コンバージョンへの貢献度」を測る
次にGA4を開きます。ここで確認したいのは、そのページが「最終的な成果(コンバージョン)にどれだけ貢献しているか」です。
直帰率が高いからといって、そのページが不要とは限りません。例えば、技術的な解説記事が「ユーザーの疑問を解決し、信頼を獲得した結果、後日サービスページへ遷移して問い合わせにつながっている」というケースは多々あります。GA4の「探索」機能などを使い、そのページを経由したユーザーが、その後どのような行動をとっているかを確認してください。直接的な問い合わせボタンがなくても、成果への導線として機能しているページは、リニューアル後も形を変えて残すべきです。
3. 「AI検索」時代に求められる情報の質
最近では、AIが回答を生成する際に参照されるコンテンツの重要性が増しています。私たちが実務でAIを試す中で感じるのは、「網羅的で専門性の高い一次情報」の価値が以前にも増して高まっているということです。単に古いからという理由で情報を削ぎ落とすと、AIがそのサイトを「専門性が低い」と判断し、検索結果での露出が減るリスクもあります。
リニューアルは情報を整理する絶好の機会ですが、それは「削除」ではなく「統合」や「リライト」で解決できる場合がほとんどです。古い情報を最新に書き換え、より読みやすく整える。この手間を惜しまないことが、リニューアルを成功させる鍵となります。
まとめ:リニューアルは「資産の棚卸し」である
リニューアル前に確認すべきことは、以下の3点に集約されます。
- Search Consoleで、検索流入の入り口となっているページを特定する
- GA4で、コンバージョンへの貢献度が高いページを特定する
- 削除ではなく、リライトや統合で価値を維持できないか検討する
リニューアルは、サイトを「育てる」ための通過点に過ぎません。データという客観的な根拠を持って、守るべき資産と、新しく挑戦すべき領域を分ける。この「棚卸し」のプロセスこそが、リニューアル後の成果を左右します。もし判断に迷ったら、まずは「そのページを消したとき、誰が困るか」を想像してみてください。その答えが、あなたのサイトにとっての「守るべき価値」です。
