会社は「働かせる場所」ではなく、みんなが成長するための器だと思っている

会社は社長のためだけにあるものでも、社員が会社のためだけに働くものでもない。創業17期目を迎えた今、僕が考える「会社という器」と、自律する組織について書きました。

会社を経営していると、「社長と社員」「経営側と現場」という言葉をよく使います。

もちろん、役割としての違いはあります。最終的な経営判断をするのは社長ですし、会社として責任を負わなければならないこともある。

ただ、僕自身は昔から、会社の中に「経営者側」と「社員側」という対立構造をあまり作りたくないと思っています。

会社というものは、社長のためだけに存在するものでもなければ、社員が会社のためだけに働くものでもない。

会社という器を使って、それぞれが成長したり、やりたいことを実現したり、新しい経験を得たりする。

僕はそれくらいの関係がいいと思っています。

管理すれば、人が動くわけではない

経営をしていると、社員の行動を細かく把握したくなることがあります。何をしているのか。どこまで進んでいるのか。ちゃんと仕事をしているのか。管理しようと思えば、いくらでも管理できます。

でも僕は、必要以上に干渉することが、必ずしも会社にとってプラスになるとは思っていません。

むしろ、一人ひとりが自分で考えて、自分で仕事を進められる状態を作る方が重要だと思っています。

だから、普段から何でも細かく指示するというより、「必要なときに必要な情報を渡す」ということを意識しています。

そして、相談されたときにはすぐ対応する。任せるところは任せる。困ったときには一緒に考える。そのくらいの距離感が、僕には合っています。

「会社のルールだから」で終わらせたくない

以前、有給休暇について考えたときにも似たことがありました。制度としてどうなっているかだけではなく、「どう使った方が本人にとって有利なのか」を考えて話す。

会社と社員を対立するものとして考えたら、会社にとって得か損かという発想になってしまうかもしれません。

でも僕は、それだけで判断する必要はないと思っています。社員にとって良いことで、結果的にその人が会社で気持ちよく働けるのであれば、それは会社にとっても悪いことではない。

形式的な挨拶や、意味の薄い社内ルールについても同じです。「普通の会社はこうだから」という理由だけで続ける必要はない。

そのルールは何のためにあるのか。

そこを考える方が大事です。

自分で自分をマネジメントできる人を増やしたい

会社が大きくなれば、管理の仕組みは当然必要になります。ただ、管理を強くすることだけが組織づくりではありません。

理想を言えば、一人ひとりが自分自身をマネジメントできる会社の方が強いと思っています。

今日何をするのか。何を優先するのか。問題が起きたらどう解決するのか。分からなければ誰に相談するのか。それを自分で考えられる。

経営者が10人を管理するのではなく、10人がそれぞれ自分を管理できれば、組織の動き方はまったく違ってきます。

もちろん、放置とは違います。任せる以上、会社側も必要な情報を出さなければいけないし、相談されたときには応えなければならない。

「自由にやっていいよ」だけでは、自律した組織にはならない。

任せることと、支えること。この二つがセットだと思っています。

17期目になっても、経営の正解は分からない

会社を始めて、今は17期目になります。17年近く経営していれば、経営について何でも分かっているように思われるかもしれません。

でも、そんなことはありません。今でも考えることばかりです。

時代も変わります。働き方も変わる。そして今はAIによって、仕事そのものが大きく変わろうとしています。

だから、昔うまくいった方法を、そのまま続ければいいとは思っていません。僕自身も変わらなければならないし、会社も変わり続けなければならない。

ただ、変わらない部分もあります。

それが、会社は人を縛るためのものではなく、人が何かを実現するために使う「器」だという考え方です。

僕自身もアップシェアという会社を使って、いろいろなことに挑戦してきました。社員にも同じように会社を使ってもらえばいいと思っています。

会社が成長する。そこで働く人も成長する。その人たちが新しいことを始めれば、また会社に新しい経験が蓄積される。

そんな循環を作れれば、会社はもっと面白い場所になると思います。

WRITER

稲井田顕章アップシェアの現場で得た知識やノウハウをお届けします。