Webサイトの改善会議、いつの間にか「このボタンの色、こっちの方がかっこよくない?」といったデザインの好みの話に終始していないでしょうか。もし心当たりがあるなら、それはサイトが「成果を出すための装置」から「鑑賞する作品」にすり替わっているサインです。

制作の現場にいると、多くの関係者が良かれと思って意見を出し合う姿を目にします。しかし、目的が「売上アップ」や「問い合わせ獲得」であるはずの会議が、個人の感性のぶつかり合いに終わってしまうことは少なくありません。なぜ、プロフェッショナルが集まる場でもこのようなことが起こるのでしょうか。
なぜ「好み」の話に終始してしまうのか
会議がデザインの好みの話に流れてしまう最大の理由は、判断基準の「言語化」と「共有」ができていないからです。
人間は、論理的に正解を導き出すよりも、直感的に「好きか嫌いか」を判断するほうが圧倒的に楽です。アクセス解析ツールやヒートマップを開いて数字を読み解くには、それなりの負荷がかかります。対して、画面を見て「青いボタンの方が爽やかでいい」と言うのは、誰にでも一瞬でできます。
また、Web制作の現場が「数年前とは変わった」ことも影響しています。以前は「綺麗なサイト」を作ることが価値とされていましたが、現在はユーザーの検索行動やAIの台頭により、求められるのは「検索意図を汲み取り、課題を解決するサイト」です。しかし、制作側の古い習慣や、クライアントの「サイトは美しくあるべき」という固定観念が残っていると、結局は「見た目」の議論へ回帰してしまいます。
デザインはあくまで手段です。ユーザーが情報を探し、納得してコンバージョンに至るまでの「導線」を整えるためにこそ、デザインの力を使うべきなのです。
成果へ戻すための判断基準
会議の迷走を止めるには、感情ではなく「事実」に基づいた判断基準が必要です。明日からの会議で、ぜひ以下の3つを判断軸に置いてみてください。
- その変更はユーザーの何を変えるのか:「かっこいいから」ではなく「ボタンを大きくすることで、PCユーザーのクリック率が何%上がる見込みがあるか」といった、仮説に基づく議論を徹底します。
- 「直感」を「数値」で検証する姿勢:意見が出たときは「それはいいですね。では、ABテストで元のデザインと比較してみましょう」と提案してください。推測の域を出ない議論に時間を割くより、データに答えを委ねるのが最も効率的です。
- AI検索時代の「情報品質」を意識する:現在、ユーザーはAI検索で回答を得る機会が増えています。サイトに訪問してくるユーザーは、AIが答えられない「一次情報」や「深い体験談」を求めています。ボタンの形を議論するよりも、そのページのコンテンツがユーザーの疑問に答えているか、信頼できる内容かを議論する方が、今のSEO環境下では遥かに重要です。
制作と運用の循環を止めるな
私たちアップシェアでは、Web制作とサイト改善を分けて考えません。制作して終わりではなく、公開してからが本当のスタートだと考えているからです。
制作現場で蓄積したノウハウをサイト改善に活かし、改善で得た知見を次の制作にフィードバックする。この循環こそが、サイトの価値を高め、売上という成果を最大化させます。
自社で運用するサイトであれ、受託のサイトであれ、本質は変わりません。「誰の、どんな悩みを解決するためのサイトなのか」という出発点を、会議のたびに確認し直すこと。デザインの話になりそうになったら、あえてこう問いかけてみてください。「この変更は、ユーザーがゴールにたどり着くために、本当に必要なものですか?」
まとめ
デザインの好みで議論が終わってしまうのは、思考停止のサインではなく、判断の「物差し」が手元にないだけです。
- 「好き・嫌い」を言う前に、数値とユーザーの行動から考える。
- 推測の議論は避け、検証可能な仮説を立てる。
- デザインを導線設計の一部として定義し直す。
明日からのサイト改善会議では、ぜひこの視点を取り入れてみてください。見た目だけの改善を卒業し、本当に成果につながるサイト運用へと舵を切りましょう。
もし、サイト改善の方向性に迷っている、あるいは自社のサイトにどのような数値指標が必要か具体的に知りたいという方は、お気軽にご相談ください。私たち自身が現場で試行錯誤してきた知見を共有させていただきます。



