こんにちわ、稲井田です。ブログ記事を見て頂きありがとうございます。
今回の記事は「知識のないIT営業に存在価値はあるのか 提案と実務が離れすぎた現場」についてです。

IT業界で仕事をしていると、時折「営業とエンジニアの溝」という深いテーマにぶつかります。最近も、技術的な裏付けがないまま、耳障りの良い言葉だけで案件を運んでくる営業スタイルに対し、現場が疲弊しているという話を耳にしました。もちろん、IT営業という職種そのものを否定するつもりはありません。しかし、技術や運用を理解しないまま、ただ「売る」ことだけを目的とした提案が、現場にどれほどの歪みを生んでいるのか。この構造は、一度立ち止まって考えるべきではないでしょうか。
提案と実務が乖離する現場の危うさ
現場のエンジニアが最も困惑するのは、顧客の要望と自社の技術的な実現可能性が、営業の段階で大きくズレているケースです。たとえば、本来なら数ヶ月かかる複雑なシステム改修を「来週までにできます」と安請け合いして持ち帰ってくる。あるいは、技術的な制約を無視した仕様を「顧客が望んでいるから」という理由だけで押し通そうとする。これらは、営業が「売る」ことには長けていても、その先にある「作る」「運用する」という実務の重みを想像できていないために起こります。
私自身、経営者として事業開発に携わる中で、つい「この機能があれば売れるはずだ」と前のめりになり、現場のメンバーから「稲井田さん、それ実装する側の工数考えてます?」と冷静にツッコまれることがあります。自分の考えた理想と、現場の現実とのギャップに気づかされる瞬間です。経営者ですらこうなのですから、現場の苦労を知らない営業が、言葉だけで提案を重ねれば、現場が疲弊するのは当然の帰結と言えるでしょう。
「売る」ための知識と「作る」ための知恵
では、知識のないIT営業に存在価値はないのでしょうか。私はそうは思いません。営業には、エンジニアにはない「顧客の潜在的な課題を言語化する」「ビジネスの全体像を捉える」という重要な役割があります。ただ、その役割を果たすためには、最低限の「技術的リテラシー」が不可欠です。ここで言うリテラシーとは、コードが書けることではなく、技術がどのような制約を持ち、どのような価値を生むのかという「構造」を理解することです。
たとえば、プリセールスという職種が注目されるのは、まさにこの「営業と技術の橋渡し」が専門的なスキルとして必要とされているからです。営業が技術の専門家と連携し、提案の段階から実現可能性を検証する。このプロセスを仕組み化できている組織は、結果として顧客からの信頼も厚く、プロジェクトの成功率も高まります。営業が「売る」ことだけに専念し、技術的な判断をすべて現場に丸投げするのではなく、両者が対等なパートナーとして向き合うことが、本来あるべき姿ではないでしょうか。
現場理解こそが最強の営業ツール
結局のところ、IT営業にとっての最強の武器は、小手先のトーク術ではなく「現場への深い理解」です。顧客の業務フローを理解し、どのようなシステムが現場の負担を減らし、利益を生むのかを具体的にイメージできる営業は、エンジニアからも顧客からも頼りにされます。私たちがAIを活用した開発基盤を構築する際も、技術的な可能性だけでなく、それが現場の誰の、どんな作業を楽にするのかを徹底的に議論します。この「現場感」を共有できているかどうかが、提案の質を大きく左右するのです。
もし、今あなたが営業とエンジニアの連携に悩んでいるなら、まずは営業担当者を現場の打ち合わせに同席させ、実際の開発プロセスや運用現場を見てもらうことから始めてみてください。言葉だけでやり取りしていた内容が、具体的な「作業」として見えたとき、営業の提案は劇的に変わります。私たちも、まだまだ試行錯誤の連続です。考えすぎて遠回りしたり、現場の空気を読み違えて空回りしたりすることもありますが、それでも「現場と提案を近づける」という努力を止めてはいけないと強く感じています。
まとめ
IT営業の存在価値は、単に売上を作ることではなく、技術と顧客の課題を正しく結びつけることにあります。提案と実務が離れすぎた現場は、誰にとっても不幸です。営業は技術への敬意を持ち、エンジニアはビジネスへの関心を持つ。この相互理解こそが、持続可能なITビジネスの基盤となります。もし、自社の開発体制や提案プロセスに課題を感じている方がいれば、ぜひ一度、現場の視点から仕組みを見直してみてください。同じようなアプリやシステム開発の相談が必要な方には、私たちの実践知を活かした提供も可能です。お気軽にお問い合わせください。



